氏名:N.K 様
年齢:90代
介護度:要介護1
現病歴:右肩腱板断裂・両肩変形性関節症・両肩周囲炎
要望:腕が上がるようになりたい
希望:庭の手入れがしたい

当初、右肩の屈曲は90度程度で制限されており、動かす際に強い痛みがありました。その痛みを避けるため、肩を内側に捻りながら無理に引き上げる「代償運動」が見られました。まずはこの不自然な動きのクセを確認し、本当の原因を探ります。

一般的に肩の制限は胸の筋肉(大胸筋)が原因となることが多いですが、触診の結果、抵抗感がなく原因ではないと判断しました。さらに詳しく調べた結果、二の腕の裏側にある「上腕三頭筋長頭」に顕著な硬さと左右差があることを突き止めました。

特定した上腕三頭筋長頭を丁寧に引き出し、ゆっくりとストレッチを施します。肩甲骨周囲の硬さを解きほぐすことで、痛みの引き金となっていた筋肉の突っ張りが取れ、代償運動に頼らなくても動かせる土台を作ります。

筋肉を緩めた後は、実際に身体を動かして感覚を学習します。背臥位(仰向け)の状態で500gの重りを保持し、肩の屈曲・伸展を繰り返します。重りを利用することで、正しい軌道での動きを意識しやすくし、可動域の拡大と筋力の強化を同時に進めます。

最終的な仕上げとして、代償運動のない本来の「正しい動作」を定着させます。上腕を外旋位(外側に開く位置)に保ったまま肩を屈曲させる動作を反復し、庭の手入れや料理といった実際の生活場面(IADL)で「痛みのない実用的な動き」ができるよう調整します。
右肩腱板断裂をされ、夜痛み止めを服用し、医師から手術を勧められていた。
現在は保存療法をされているが、リハビリを行う事で、右肩屈曲可動域が良くなっており、医師も驚かれていた。
夜間、肩を屈曲する時に痛みが強く、その痛みから逃れるために肩を内旋させ、引き上げるという動きをされていた。
大胸筋が原因と考えるも、ほぐした際に抵抗感がなく、上腕を外旋位できることから原因ではないと判断した。肩甲骨の周囲が原因と考え、触診すると上腕三頭筋長頭が硬く、左右差がある事で原因だと見解した。
上腕三頭筋長頭を引き出し、ゆっくりストレッチを行った後、代償運動が消失する。本来の肩甲上腕リズムの正常な上腕と肩甲骨の動きを、上腕外旋位に誘導し、肩屈曲を行った。この動作ができると背臥位で500gの重りを把持し、肩屈曲伸展を行い肩の動きの感覚を学習していく。
今回、触診にて硬くなっている部分を解し、ストレッチで緩めるだけでなく、そこからしっかり肩の可動域の訓練をする。そうすることで、可動域が広がり筋力強化を行える。これらのことにより、痛み止めの服用も減り、ご本人の希望である庭の手入れや、娘さんと一緒に料理を作ったりとIADL活動も広がっていくと考えている。